今回のad:tech NYに参加して、感じたことをまとめてみます。
(ほぼ私見なので、ad:techレポートとしては参考程度に)

ソーシャルメディアがキーワード。
その言葉だけ取れば、目新しい感じはしないかもしれないが、facebookの会員数が世界で3億を超えた今、今までは単につながってるいるだけのインターネットが、デジタルの力によって地域性や人脈などといった意味性をもった、巨大なデジタルメディアに変容してきている。

エンゲージメントの本質は、自分ごと化に変わりはない。
様々な文脈(地域性・人脈など)を介してブランドやサービスを生活者に効率よく導入(エンゲージ)させていくための基盤が、成長してきたfacebookやtwitterといったSNS/UGMと
アドネットワーク+ターゲティング技術によって整ってきた。

デジタルメディアがその成長の先を中国やインドに求めているのも、おそらく新興市場ということだけではなく、膨大な人口といったボリュームが目的なのだろうと考えられる。
母数が多ければ、エンゲージする確率もその分高まる。ソーシャルメディアは、マスメディアよりも効率よく、パーソナルに届く新しい意味でのマスメディアになりうる。

一方で、効果という側面にも目が向けられ始めている。
ソーシャルメディアを活性化させる効果を引き出す方法として、大きく二つの方向性が考えられる。

1)ビッグアイディアに基づいた全く新しいコンテンツ・体験
2)生活者発のソーシャルテーマをサポートするコンテンツ・体験

いずれにせよ、それらコンテンツ・体験の開発や成長は、生活者を巻き込んだ動態として、進化していく形になるだろう。(ソーシャルメディアがそれを可能にしている)

逆にそうでないコンテンツ・体験は安価に消費されるものとなる。
マーケターは、クリエイティブなインテグレート能力と生活者の力を引き出すコミュニケーション能力、且つそれらをダイナミック(動的)に展開できる能力が求められるのではないか。(いわば、ソーシャル・クリエイティブ)

モダンエージェンシーは、効果的なコンテンツ・体験を開発しつつ、それを世界規模のインターアドネットワークを介して、様々なターゲティング技術を駆使しながら、エンゲージ出来る生活者へと広めていく役割を担うようになるだろう。


さて、日本はどうしていくべきか。
ボリュームという観点から言ってもfacebookの会員数の半分にも満たないネット人口は、海外からみても魅力的とは言えない。言語の壁が、それをさらに隔てさせている。自ら世界に出て行かない限り、取り残されていく構造は自明。

国内で頑張るならば、ポテンシャルを最大限に引き出す必要がある。世界に出るのであらば、言語の壁をテクノロジーで乗り切りつつ、アドネットワークと繋がって行く必要があるのではないか。

前者であれば、手っ取り早い方法が政府をクライアントとして国のサービスと一体化したプラットフォームを構築すること。

後者であれば、海外を視野に入れたコンテンツ・体験開発を行う。今であれば、ほとんどのモノがEC上に乗るものになるだろう。(生活消耗品の類いは、リテールを必要とするかもしれないが)
そして、その時に差別性を持つ価値創りに貢献していくのが日本らしさ・日本文化であろう。(伝統文化ということだけでなく、日本WAYといえるもの)

それ以外の道があるとすれば「足るを知る」世界に入ること。いわばシュリンクさせていく方向であるが、そのためにはこの価値観を多くの人が違う形であれ共有していくこと、
デマンドよりも社会的要望(生活必然性)に特化しつつ、効率を最大化しながら縮小していく必要がある。(もしかすると25%削減には最も近道かもしれないが…)

いずれの方向にせよ、日本でも前述したようなソーシャル・クリエイティブが必要とされるだろう。


最後に全体として思ったこととして、広告というよりも、その枠を超えたホリスティックな
コミュニケーションそのものになりつつある…というよりも、取り込まれつつあるという感じがした。大変(大きく変わる)な時代になってきた。